2018年11月06日

「マレスケの虹」森川成美著

IMG_20181106_165852.jpg森川成美さんの最新刊
「マレスケの虹」(小峰書店)を拝読いたしました。
主人公は、日系一世の祖父と、兄、姉とともに
ハワイ島に暮らす日系二世のマレスケです。
物語には、マレスケの14歳から17歳までの
3年間がつづられています。
わずか3年ですが、はじまりは1941年。
――真珠湾攻撃があった年です。
「日系二世」という言葉も、
ハワイへ渡った一世の苦労もドラマや
映画でぼんやりと知ってはいましたが、
そこで暮らした方々がどのような立場にあり、
どのような暮らしをしていたのかまでは
知りませんでした。

「ぼくはアメリカ人だ」と思うマレスケが、
「リメンバー・パールハーバー」と書かれたバッジを目にしたときの気持ち。
軍人だった恋人に、敵国人の家族とは結婚できないと言われたねえちゃんの気持ち。
忠誠心を示すため、日系人志願兵に応募し、抽選に当たって大よろこびするにいちゃんの気持ち。
そんなにいちゃんに、この国によくしてもらった恩を今こそ返すんだと諭す祖父の気持ち。
「国」というものに翻弄される人たちの複雑な心情、
ささやかな暮らしや大切な人を奪われてゆく切なさが心に残りました。
まさに「激動の時代」を描いているにもかかわらず、
表紙に描かれた、海に立つ虹、浜辺に打ち上げられたレイに象徴されるように、
静かに静かに心に落ちてくるような、いつまでも余韻の残る物語でした。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思いました。
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2018年10月22日

ゆうなとスティービー/堀米薫・さく 丸山ゆき・え

DSC_1888.JPG
表紙は、青い目をした子うしと少女。
そして帯には「わたしたち、ずっといっしょに生きていくんだよ。」のコピー。
この表紙に、ひと目で心を奪われました。
少女の名前はゆうな、子うしの名前はスティービーです。
生まれてきた子うしの目が見えないとわかったときのお父さんとゆうなの決断、
そしてスティービーと名づけたお父さんの思いに胸が熱くなりました。
ゆうなとスティービーとの楽しい日々の末に、やがて訪れる日。
「わたしたち、ずっといっしょに生きていくんだよ。」の言葉の意味が、じんわり沁みてきました。
絵本ですので、詳しくは書きません。ぜひ、読んでいただきたいです。あとがきまで、しっかりと。
ちなみに私は、30・31ページの絵と言葉に心をもっていかれました。
ひさびさに「絵本っていいなぁ」と心から思いました。
こんな作品を、一生のうちにひとつでも創りたいなぁと、つくづく思いました。
牛を飼っていらっしゃる堀米さんにしか書けない世界を堪能させていただきました。
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2018年10月05日

「どこどこ山はどこにある」おおぎやなぎちか著

9784577046937[1].jpgおおぎやなぎちかさんの最新刊、
「どこどこ山はどこにある」(松田奈那子絵/フレーベル館)を
読ませていただきました。
実は、表紙を拝見したときから、気になっておりました。
表紙には、シロツメクサ、オオイヌノフグリ、ぺんぺん草、
カラスノエンドウ、ヒメオドリコソウが描かれています。
野の草花が好きで、特に、
オオイヌノフグリ(別名「天人唐草」)が
大好きな私は、 一目見ただけでわくわくしました。
読む前から、心の針は「好き!」にググッと傾いておりました。
主人公は、小学校2年生になったばかりのまどかです。
ある日、大好きなひいおばあちゃんの「ひいちゃん」が、
ふらりとどこかへ出かけてゆきます。
「どこに行くの?」とたずねたまどかに、ひいちゃんは「どこどこ山だよ」と答えます。
ひいちゃんと、ひいちゃんをおいかけてきたまどかは、空色のバスでどこどこ山に向かいます。
どこどこ山では、しゅうちゃんとタローという男の子がひいちゃんを待っていました。
このどこどこ山に、あの野の草花たちは生えていました。
それは、まどかが小さい頃からひいちゃんに名前を教えてもらっていた草花でした。
「どこどこ山」とは何なのか、ひいちゃんはどうなってしまうのか、
大切な人との別れを経験している人なら、少しつず、少しずつ、わかってきます。
せつないけれども、あたたかい気持ちにも包まれてゆきます。
「どこどこ山」のうた、シロツメクサで冠をつくったり、ミカちゃんと絵を描いたりする何気ないシーン、
「どこどこ山」がやってくるという発想、おおぎやなぎちかさんの世界観に引き込まれました。
読み始めても私の心の針はぶれることなく「好き!」を差し続け、
読み終えたときは「好き!」の先にあるレッドゾーン「大好き!」のその先まで振り切れておりました。
ちかさん、いいお話を、ありがとうございました\(^o^)/
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2018年07月11日

『ガラスの梨 ちいやんの戦争』越水利江子著

978-4-591-15908-8[1].jpg越水利江子さんの最新作
『ガラスの梨 ちいやんの戦争』(ポプラ社)を
読ませていただきました。
冒頭の言葉に、がつんとやられました。
越水さんの想いを込めた言葉は、
「けれど、わすれてはいけない。わたしたちはみな、
過去から続く流れのとちゅうに立っていて、そこはいつでも、
思いもよらぬ未来へ向かう川のとちゅうでしかないということを。」
さらに「どれほどひどく、不幸な過去であっても、見つめ直すことで、
時は、真実を映し出してくれる。」と続きます。
これは、戦争はもちろん自然災害、事件、事故、
人の穏やかな暮らしを揺さぶる事象すべてに当てはまるように思います。
見つめ直し、繰り返し、繰り返し、伝え続けなければいけないことというものが確かにあるのだと。
そしてそれをすることで、少しでも未来がよくなる可能性があるのだということを。
今、伝えることで、未来を少しでも良くしようと、越水さんが腹を括ってこの作品を書かれたことが、
冒頭の言葉から伝わってきました。
主人公は、小学三年生の笑生子です。
あたたかい家族にかこまれた少女の幸せな暮らしが、戦争によってどう変わってゆくのか。
生き延びた笑生子が、どのような選択をするのか。
少しずつ、じっくりと、と、思って読み始めたのですが、一気に読まされてしまいました。
特に、焼夷弾や機銃掃射の中を逃げ惑うシーンの描写のすさまじさが胸に迫りました
実は私のふるさと日立も、空襲や艦砲射撃に遭った土地です。
折々に、父や母から当時の話を聞かされて育ちました。
その印象があまりに強かったせいか、幼い頃の悪夢は決まって
「山の向こうから突然現れた戦闘機に追いかけられて、機銃掃射に遭う」というものでした。
『ガラスの梨 ちいやんの戦争』を読んで、ずっと忘れていた悪夢を思い出しました。
でも、それは大切なことなのだと思いました。
今、何をするか、何を選ぶかによっては、あの悪夢が現実になる可能性もあるのです。
この物語は、越水さんのお母様がモデルで、終盤にはご自身につながる赤ん坊も登場します。
どれほど苦しく、たいへんな執筆であったかは、想像に難くありません。
クリと成年兄やんとの、夕焼けの土手の光景の穏やかさが心に残りました。
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2018年03月05日

「なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日」

namiki2[1].jpg森川成美さん、おおぎやなぎちかさん、
赤羽じゅんこさん、松本聰美さんという、
豪華執筆陣が上梓なさったアンソロジーの2作目、
「なみきビブリオバトル・ストーリー2 決戦は学校公開日」(さ・え・ら書房)、
やっと拝読することができました。
早くにご恵贈いただいていたのに、相変わらずのドタバタと、
おいしいものは後から食べる派の気質が相まって、
今になってしまったことをお詫びいたします。
さて、前回拝読したときはまだ「ビブリオバトル」がどんなものであるかいまひとつわかっておらず、
そちらの方にばかり気をうばわれておりましたが、今回はもう大丈夫!
純粋に、登場する子どもたち一人一人の心情と彼らが本を選ぶ心の動き、
そしてそのバトルぶりと結果まで、じっくり楽しむことができました。…………と、言いつつ、
本が届いたとき、真っ先に「この本に登場する本」のページをチェックしてしまったのは、
これはもう本好き少女≠フなれの果ての習い性というか、作家の性といったところでしょうか(笑)
登場するゴッチ、よし丸くん、キンコちゃん改めニノちゃん、そして碧人くん、
現役4年生の彼らが読んだ本のラインナップをじっくりながめた結果、
同じ4年生だった頃の自分の本好き度≠ネんぞ、まだまだであったことを思い知らされました。
前回もそうでしたが、登場する子それぞれの本の好みが全く違うのが面白いです。
本の好みには、その子の性格や興味が反映されているということが、改めてよくわかりました。
特に、よし丸くんこと、十文字吉樹くんは、「あ、これ、私だ!」とびっくりしました。
何を隠そう私「仮面の忍者 赤影」の赤影さんのお嫁さんになるべく、忍者修行をしたことがあります。
お風呂に潜ったり、麻のかわりにタケノコを毎日飛び越したり、枯葉に埋もれて隠れたり…………。
よし丸くんが紹介してくれた「なん者ひなた丸 ねことんの術の巻」、読みたくなりました!
……で、終わってしまってはもったいないので、もうひと言!
書き手側からの目線で見ると、このシリーズでは毎回多彩なジャンルの本が
取り上げられていることに改めて感心させられました。
挙げられた本の中で、私が「読みました!」と自信を持って言えるのは6冊ぐらい。
図書館司書のクルミンがよし丸くんに「好みも、合う合わないもある」とアドバイスしたように、
チャレンジはしたけれど、どうしても読み切ることができなかった本が3冊ほどありました。
「すぐれた書き手は、すぐれた読み手でもある」とよく言われますが、
ビブリオバトルを描く作家のみなさんが、普段からどれほど本を読んでいるのかがよくわかりました。
端くれである私のささやかな目標は、著書がいつかこのシリーズの「登場する本」に並ぶことです(笑)
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2017年04月07日

『大林くんへの手紙』せいのあつこ

17554512_1201375066624615_5747085963695846686_n[1].jpgせいのあつこさんの新刊
「大林くんへの手紙」(PHP研究所)を拝読しました。
最初の11ページ目まで一気に読んで、
一度本を閉じました。
深呼吸して気持ちを立て直さないと、
打ちのめされそうだったからです。
物語は、主人公の文香が読書感想文を
考えるシーンからはじまります。
苦手な読書感想文を、文香は書きます(――全部、ウソだよねえ)と思いながら。
もうこ冒頭のシーンだけで、十分に打ちのめされました。
「ガラスの壁の向こうがわ」(国土社)のときも感じたことですが、
せいのさんは何と繊細な感覚を持っている方なのだろうと思いました。
ただ持っているだけではありません。表現することができる方なのです。
こういう感覚と真っ向から向き合い続けるせいのさんの強さを、
ただただ「すごいなぁ」と思いました。
「大林くんへの手紙」は、 文香に共感する子どもたちにとっては、励まされる、
文香と対極にいる子どもたちにとっては、 自分の感覚がすべてではないことに気づかされる物語です。
私は、あの頃感じた違和感の正体に気づかせていただきました。
たくさんの子どもたちに出会っていただきたい作品でした。 装丁も素晴らしいです!
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2016年06月11日

「アポリア―あしたの風ー」いとうみく

51V3h2AdjlL[1].jpgひさびさに、気合を入れて本を読みました。
切れ切れではたぶん読み通せないだろうと、
時間を作って一気に。
いとうみくさんの
「アポリアーあしたの風ー」(童心社)です。
表紙を含め、絵は一切ありません。
仙台市在住の写真家・宍戸清孝さんの作品が使われています。
物語の舞台は、20xx年の首都圏。
この地を襲った大地震を、中学2年生の一弥の視点で描いています。
圧倒されました。
不安を掻き立てるヘリの音で目覚めていた日々が、一気に蘇りました。
残り少ない食べ物を夜までもたせようと、家族の目から隠したこと。
「おらだづは足手まといになるから、どこへも行かない」と、暗い家の中でじっとしていた義父母のこと。
心の奥に封じていた記憶が引きずりだされるほど、迫力ある物語でした。
その場所に居たかどうかではなく、事象に対して何を感じ取るかが、作家の技量なのだと痛感しました。
中面で使われている写真はほぼモノクロですが、 最後の一枚に「色」を感じました。
この地で暮らすわたしたちは、大勢の一弥を知っています。
あるいは、自分自身が一弥だった方もいらっしゃると思います。
ぜひ読んでいただきたい物語です。
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2015年07月11日

「あきらめないことにしたの」

91T+0opE61L[1].jpg角田市在住の児童文学作家・堀米薫さんの最新作
「あきらめないことにしたの」(新日本出版社)を
読ませていただきました。
タイトルは、農業雑誌に載っていた
渡邊とみ子さんの詩からとられたということです。
冒頭にその詩が掲載されていますが、それを読んで、
物語というのは(本作品はノンフィクションですが)、
生まれるべくして生まれることがあるということを強く感じました。
私だったら「なるほどなぁ」で思って終わってしまったかもしれません。
その背景にあるこれほどの事実を引き出し、しっかりと書き留めることができたのは、
やはり「受け止めるべき人が受け止めたから」だと思うのです。
さらに、そういうテーマに巡り合えるかどうかは、作家の力量にかかっているのではないか、とも。
福島の農家である渡邊さんを取材して書くことは、自身も被災地で農家をしている堀米さんにとって、
容易なことではなかったろうと思います。
それを書き上げ、本にまとめた努力と想いの強さ。さすが堀米さん!と言うしかありません。
児童書ではありますが、大人も読むべき本であると感じました。
飯舘村のこと、じゃがいものこと、除染のこと、
福島の「かーちゃん」の姿を通して、ようやく理解できたことがたくさんありました。
何より、野菜が愛おしく思えてきました。
ぜひ、ご一読を。
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2015年01月02日

仙台いやすこ歩き

IMG_8953.JPG新年あけまして、おめでとうございます。
年末のごあいさつもしないうちに、
うっかり年を越してしまいました。
相変わらず“とんぴくりん”なワタクシですが、
どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、年明け早々お知らせがございます。
先日こちらのブログでご紹介させていただいた、
河北新報夕刊に月2回月曜日に連載中の「仙台いやすこ歩き」ですが、
河北新報社さまのホームページに掲載していただけることになりました(……12月のうちに)。
お知らせが遅くなりまして申し訳ありませんでした。ご覧いただければ幸いです。
◎仙台いやすこ歩き


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2013年11月21日

ひさびさです

ごぶさたしておりました。
気づけば、前回の更新は誕生日の一日前(笑)
すでに1カ月近くたってしまいました。
いやはやいやはや……。
この間、なにをしていたのかと申しますと、
10月26日、お誕生記念落語鑑賞(笑)
鶴瓶さんの「らくだ」を聴いてまいりました。
11月11・12日、仙台在住のイラストレーターの方々が
東京新橋で開催した「仙台八福箱展」の応援。
11月15・16日、かまぼこの鐘崎さまの「感謝祭」のお手伝い。
11月16日、学生時代に所属していた劇団ピッカリ座の同窓会。
とにかく、大きなイベントが目白押しで、バタバタ走り回っておりました。
特に「感謝祭」は、自分で企画しただけに力が入りまくり、
当日走り回りすぎて、いまだに膝ががくがく傷んでおります(T_T)
今日からは、また少しずつブログも更新してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
ひさびさなので、自分の本の写真を掲載させていただきました。
もののけ温泉 滝の湯へいらっしゃい』(岩崎書店)です。
こちらの方も、どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>
posted by roku at 18:09| Comment(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする