2016年06月11日

「アポリア―あしたの風ー」いとうみく

51V3h2AdjlL[1].jpgひさびさに、気合を入れて本を読みました。
切れ切れではたぶん読み通せないだろうと、
時間を作って一気に。
いとうみくさんの
「アポリアーあしたの風ー」(童心社)です。
表紙を含め、絵は一切ありません。
仙台市在住の写真家・宍戸清孝さんの作品が使われています。
物語の舞台は、20xx年の首都圏。
この地を襲った大地震を、中学2年生の一弥の視点で描いています。
圧倒されました。
不安を掻き立てるヘリの音で目覚めていた日々が、一気に蘇りました。
残り少ない食べ物を夜までもたせようと、家族の目から隠したこと。
「おらだづは足手まといになるから、どこへも行かない」と、暗い家の中でじっとしていた義父母のこと。
心の奥に封じていた記憶が引きずりだされるほど、迫力ある物語でした。
その場所に居たかどうかではなく、事象に対して何を感じ取るかが、作家の技量なのだと痛感しました。
中面で使われている写真はほぼモノクロですが、 最後の一枚に「色」を感じました。
この地で暮らすわたしたちは、大勢の一弥を知っています。
あるいは、自分自身が一弥だった方もいらっしゃると思います。
ぜひ読んでいただきたい物語です。
posted by roku at 11:04| Comment(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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