
新刊『赤毛証明』(くもん出版)を拝読しました。
まずもって、装丁が面白い!
中心にでかでかと、
赤地に白抜きで「赤毛証明」のスタンプ。
その周りに、思い思いの意見を書いた付箋。
極めつけは帯です。キャッチは
「自分らしく生きるため 声を上げる少女の物語」。
その下には、「赤毛でなにがわるい!」のコピー。
――痛快です。
こんな面白くて情報満載、遊び心のある装丁、
ひさびさに拝見いたしました。
実は、カバーをとると
もう「ひと遊び」あるのですが、
それは手にとってみてのお楽しみ!です。
さて、本の内容ですが……。
主人公は、中学一年生の堀口めぐです。
物語は、私立中高一貫校・三つ葉学園に入学したメグが、生徒手帳に赤いゴム印で『赤毛証明』と押されるところから始まります。
それはめぐにとって「ふつうじゃなくなった日」でした。
納得がいかないめぐはその日から、「ふつう」とは何かについて考え始めます。
親友のサワちゃん、おさななじみの紘、紘をサポートしてくれているマモさん、そして、めぐの生徒手帳に『赤毛証明』を推したゲニン(学年主任で国語担当の先生です)。
さまざまな人間関係の中で、考え続け、悩み続け、自分なりに答えを出してゆくめぐの姿が印象的でした。
小学校から中学校卒業まで全く同じ顔ぶれで過ごす、山の中で過ごした私にとっては、全編通して都会の匂いに満ちたテーマと物語でした。
めぐが結ぶ人間関係が大人で、カッコよく映りました。
生徒手帳をよく読んだこともなかった自分の中学時代、あの頃この作品を読んでいたら、もう少し、自分を取り巻く事柄に疑問を持ち、
つきつめて考えることができるようになったのではないかと思いました。
読み終えた後に、「自分は自分でいいんだ」と勇気をもらえる一冊です。