2016年02月28日

「黄砂に挑む〜緑の高原をめざして」高橋秀雄著

33402305[1].jpg私の特技は、食べられる木の実・草の実を
目ざとく見つけられることです。
山の中で育ったせいか、植物が大好きなのです。
2キロにおよぶ通学路(山道)では、空腹を満たすため、
木の実・草の実にお世話になりました。
すかんぽ、グミ、もみじいちご、
アケビ、つばな、つつじ、桑の実……。
大人になった今でも、道端で見つけた
木の実・草の実に反射的に手を伸ばし、口に持っていくクセがあります(笑) 
同じ季節風の大先輩で、敬愛する高橋秀雄さんからご恵贈いただいた
「黄砂に挑む〜緑の高原をめざして」(新日本出版社)を読み始めたとき、
まず惹かれたのは、主人公である一前宣正さんの子ども時代のエピソードでした。
やはり、木の実をおやつにしていたのだそうです。一気に親近感がわきました。
部活より山を選んだ草オタクだった一前さんは、農学部に進み、除草剤の研究をします。
研究者として大学に残ってからは、世界各国の雑草図鑑を集め、『世界の雑草』をまとめました。
『黄砂にいどむ 緑の高原をめざして』は、自らを「雑草屋」と称する雑草の専門家だった一前さんが、
黄砂を発生させる中国の黄土高原の緑化に取り組んだ姿を紹介するノンフィクションです。
「雑草」とひとくくりにされがちな植物にはそれぞれ名前と性質があることに、改めて気づかされました。
「雑」の字のイメージとは裏腹に、命の営みや人の暮らしをさまざまな形で
支えてくれているのだという事実は、新たな発見でした。「雑草」の奥深さに感心しました。
後半はいよいよ、黄土高原との格闘の日々です。
「雑草」と呼ばれる生命力の強そうな植物でさえ、育つことができない土地。
緑化は、黄砂を解消するのが目的ではなく、その土地に生きる人々の暮らしを向上させることにあります。
そしてそのプロジェクトは、まだ進行中とのことです。
何より、一前さんの雑草への想いに胸を打たれました。「雑草とともに生きよう。雑草と話をしよう」。
春になったら、野道をゆっくり歩いてみたくなりました。
壮大で、繊細で、示唆に富んだノンフィクションでした。




posted by roku at 18:04| Comment(0) | 読んだり書いたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする