おおぎやなぎちかさんの新著『友だちの木』(ao絵/国土社)を拝読しました。
先日ご紹介した堀米薫さんご著書と同じ、
国土社の「パステルショートストーリー」シリーズの一冊です。
おおぎやなぎさんの作品のテーマカラー(?)は、「Yellow Green」。
収録された6つのお話には、それぞれ「木」が登場します。
「登校班」はケヤキ、「友だちの木」はアンズ、「お守り」はリンゴ、
「ちょっといいかも」はカエデ、「桜の向こうへ行ったなら」は桜、
そして「紙飛行機」は松という具合に。
それぞれ帯にもある通り「休み時間にサクッと読み切れる」ほどの短いお話ですが、
どのお話もしっかり味わいがあって、しかもどのお話にも「不思議」の味つけがしてあります。
読んだ子はきっと、ケヤキのまわりをまわりたくなったり、アンズの木に話しかけたくなったり、
リンゴの木に会いたくなったりするのではないでしょうか。
少なくとも、お話に登場した木を見る目が変わると思います。素敵なことだなぁと思います。
もともと木や植物が好きなので、どのお話もわくわくしながら読みましたが、
中でも「友だちの木」が心に残りました。
子どもの頃、お菓子作りに凝っていた私にとっては、アンズは特別な木で、
いつも「アンズの木があったらなぁ」と憧れていました。
このお話では、そんなアンズの木が、離れてしまった友だちをつないでくれるのです。
子どもの頃とはまた違った意味で、アンズの木がほしくなりました。
このシリーズは、このあとも順次刊行される予定とのこと。
どんな作家さんが、どんなお話を書かれるのか、出版がますます楽しみになりました。