2022年05月09日

「友だちの木」おおぎやなぎちか著

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おおぎやなぎちかさんの新著『友だちの木』(ao絵/国土社)を拝読しました。
先日ご紹介した堀米薫さんご著書と同じ、
国土社の「パステルショートストーリー」シリーズの一冊です。
おおぎやなぎさんの作品のテーマカラー(?)は、「Yellow Green」。
収録された6つのお話には、それぞれ「木」が登場します。
「登校班」はケヤキ、「友だちの木」はアンズ、「お守り」はリンゴ、
「ちょっといいかも」はカエデ、「桜の向こうへ行ったなら」は桜、
そして「紙飛行機」は松という具合に。
それぞれ帯にもある通り「休み時間にサクッと読み切れる」ほどの短いお話ですが、
どのお話もしっかり味わいがあって、しかもどのお話にも「不思議」の味つけがしてあります。
読んだ子はきっと、ケヤキのまわりをまわりたくなったり、アンズの木に話しかけたくなったり、
リンゴの木に会いたくなったりするのではないでしょうか。
少なくとも、お話に登場した木を見る目が変わると思います。素敵なことだなぁと思います。
もともと木や植物が好きなので、どのお話もわくわくしながら読みましたが、
中でも「友だちの木」が心に残りました。
子どもの頃、お菓子作りに凝っていた私にとっては、アンズは特別な木で、
いつも「アンズの木があったらなぁ」と憧れていました。
このお話では、そんなアンズの木が、離れてしまった友だちをつないでくれるのです。
子どもの頃とはまた違った意味で、アンズの木がほしくなりました。
このシリーズは、このあとも順次刊行される予定とのこと。
どんな作家さんが、どんなお話を書かれるのか、出版がますます楽しみになりました。
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2022年04月27日

『夕ぐれ時のふしぎ』堀米薫著

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宮城県角田市在住の作家・堀米薫さんの新著を拝読しました。
『夕ぐれ時のふしぎ』(ao絵/国土社)です。
1冊に7話の短いお話が収録されておりました。
帯に「休み時間にサクッと読み切れる」とありましたが、まさにその通り!
今朝、一気読みさせていただきました。
収録されているのは「夕ぐれ時のふしぎ」というタイトル通り、
夕ぐれ時に起こるお話ばかりです。
しかも主人公たちが暮らしているのは「夕陽町」! 通う学校の名前も「夕陽町小学校」!
どこまでも「夕陽」なのです。そして、「夕ぐれ時」なのです。
私は「裏後光」というお話に心ひかれました。この言葉、この作品を読んで初めて知りました。
ふだんはあまのじゃくな渉が、裏後光を見たいと願う気持ちにほろりとさせられました。
堀米さんの自然を観察する目の鋭さと、子どもたちに向けるやさしさを感じさせるお話でした。
読み終えたあと、夕暮れ時がちょっと特別な時間に思えてくるお話ばかりでした。
この作品には「パステルショートストーリー」というシリーズタイトルがついております。
第1期は、6人の児童文学作家が一つのテーマにもとづいて書き上げた作品を1冊にまとめ、
順次刊行される予定とのこと(ちなみに、『夕ぐれ時のふしぎ』はオレンジです)。
どんな作家さんが、どんなお話を書かれるのか、出版が楽しみです!
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2022年04月01日

「スネークダンス」佐藤まどか著

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 イタリア在住の作家・佐藤まどかさんの最新刊『スネークダンス』(丹治陽子絵/小学館)を読みました。
この本が手元に届いた時は、「スネークダンス?」「スネーク?」「ダンス?」と「?」がたくさん浮かびました。
 諸事情により、読み始めるまでに時間がかかったのですが、その間、ずっと、「ブレークダンスのようなものであろう」という勝手な思い込みが、頭の中に渦巻いておりました。表紙の絵と、「Roma×Toquo=?」という帯のコピーから推察するに、ローマと東京の少年と少女が出会い、ダンスチームを組むのだろうと。
 ――ちがいました。
 よく見ると、少年の手にはペンが、少女の手にはスプレーが描かれておりますし、帯には「町をスケッチする少年と路上グラフィティする少女が化学変化した!」とちゃんと書いてありました。

 主人公は、ローマで生まれ育った杏里圭人、14歳です。父親が亡くなったことで、圭人は母親とともに、日本に帰国します。
 東京の下町にある母の実家で暮らし始めた圭人は、ローマでもそうしていたように、古い町並みをスケッチに出かけます。そこで、スプレー缶を手に落書きをしている人物を見かけます。その絵にみとれていた圭人は、あろうことか、その落書き犯に自転車を盗まれてしまいます。
 犯人は、意外な場所で見つかります。同じ中学、同じ学年の有名人、山中歩でした。
 スケッチが好きな圭人は、すごい絵の才能を持つ歩と出会ったことで、自分の目標を見つけます。「スネークダンス」は、その目標に関わる重要なキーワードです。

 冒頭、圭人が日本へと旅立つ前に、名残りを惜しんでローマの街をスケッチするシーンがあります。そこで、ローマの風景や歴史、文化、現代の暮らしぶりまでが描かれます。イタリアで暮らしているまどかさんならではの圧巻のシーンでした。
 同じように、後半、歩が圭人に東京の下町を案内するシーンで、谷根千が出てきます。こちらも、東京生まれのまどかさんならではのシーンだと感じました。

 私が最も心惹かれたのは、圭人が歩に誘われて参加したとある講演会で、「背筋がゾゾッ」とする体験をしたシーンです。
 いても立ってもいられず、講師を呼びとめて話をする。そこで、自分も講師のようになりたいと語るシーン。読んで、私もゾゾッとしました。
 全く同じことをした経験があるからです。今の職業は、そのときに宣言した職業です。
 ――たった1度の出会いが、将来への道しるべになる。
 そういう出会いがあることを示唆してくれる物語だと感じました。
 何かを求めている人の魂に火をつけてくれる佐藤まどかワールド、堪能させていただきました。
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2022年02月05日

『オンチの葉っぱ ららららら♪』おおぎやなぎちか著

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おおぎやなぎちかさんの最新刊『オンチの葉っぱ らららら♪』
(つじむらあゆこ絵/文研出版)を拝読しました。

主人公は、歌がとくいで運動が苦手な2年生のしおりです。
物語は、音楽の時間からはじまります。
しおりが歌うと、声がひっくりかえったり、音がはずれたり……。
歌がとくいなはずなのに。
友だちからも「しおりちゃんの歌、ひどかったね」なんて陰口を言われたりして。
ショックをうけたしおりは(……まさか)と、きのうの出来事を思い出します。
しおりは昨日、むかしキツネが住んでいたというすすきの原っぱで、
歌っている女の子と出会いました。
その子の歌を「ひどい歌、けんたくんよりオンチかも」とつぶやいてしまったのです。
女の子が泣きながら走り去ったあと、女の人があらわれて、
しおりに金色の葉っぱをくれました。
捨てることはできない、いらなくなったら誰かにあげるしかない、金色の葉っぱ。
しおりはこの葉っぱが「オンチの葉っぱ」だと思い当たります。
……さて、しおりはこの葉っぱをどうするのか? しおりのオンチはなおるのか?

「オンチ」をキーワードに、展開していく物語。
やさしいけれど、子どもならだれもが経験するような
ピリッと辛い何かを内包している物語だと感じました。
実は私、「オンチの葉っぱ」を持って生まれてきたのでは?というぐらい
歌が下手くそな子どもでした。
下手でしたが、歌うことは大好きでした。
学校までの2qの山道、同じ集落の幼なじみと3人で、
よく歌いながら通っていました。
ある時、2人と別れた後、おどかしてやろうと、
よせばいいのにそっとあとをつけました。
その時、聞こえてきたのです。
「ひとみちゃんって、歌、下手だよね」「オンチだよねー」と。
がーん!ときました。
「もう2度と歌うもんか!」と思ったことを覚えています。
……なんてことを思い出しました。

この本には、いろんなオンチが登場します。
誰にでも苦手なことはあるんだと気づくことで、
ちょっと気持ちが安らかになる子もいるのではないでしょうか。
「えどうわ」というシリーズタイトル通り、
つじむらさんの絵もとってもかわいい本です。
小学校低学年のお子さんに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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2021年11月23日

『ひまりのすてき時間割』井嶋敦子著

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井嶋敦子さんの『ひまりのすてき時間割』(丸山ゆき絵/童心社)を拝読しました。
主人公は、6年生のひまりです。
ひまりは、 ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)という特性を持っています。
物語は、そんなひまりが書いた一日の時間割を、親友の真由に読んでもらう形で進んでゆきます。

ADHDや自閉スペクトラム症という言葉は知っていましたし、
身近にそういう特性を持っている先輩もいます。
しかし、そのことについてお話を聞かせていただくことがないまま、今日まで来てしまいました。
今回この作品を読んで、「ちょっと変わっている」と思っていた先輩の行動の理由が、
ちょっとだけ分かりました。
今すぐ何か手伝うということはありませんが、知っておくことは大事だと思っています。
少なくとも、先輩が困っているときや焦っているときを見逃すことはもうないと思います。
そしてそれこそが、この本の意義だと感じました。
ひまりと同じ特性を持っている子は「自分だけじゃないんだ」と心強く思うことができます。
他の子は、その子を理解し、必要なときに手を差し伸べることができます。
それができなくても、「大丈夫だよ」と見守ることはできるのではないでしょうか。
小児科医であり、ご自身が同じ特性を持つ井嶋だからこそ書けた作品だと感じました。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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2021年11月22日

『家守神@妖しいやつらがひそむ家』(おおぎやなぎちか著)

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おおぎやなぎちかさんの最新作、しかもシリーズものが発売されました!
タイトルからしてもう、面白そう! 表紙の絵も素敵!
もったいないからじっくり味わおうと思っているうちに、少し時間が経ってしまいました。
病院の待ち時間に読むことが出来ました(こういう時の方が、案外集中できるものです)。
呼ばれていることに気づかないほど(笑)、夢中で読みました。
ひさびさに「読み終えるのが惜しい!」「次刊が待ち遠しい!」と思いました。
主人公は、5年生の拓です。
物語は、拓が半透明の鶴と出会い、亀を連れて帰るところから始まります。
その後拓は、母親の結婚相手の実家・佐伯家へと引っ越します。
佐伯家は、築100年という古い家。その家には、「座敷」と呼ばれる部屋があり、
その部屋には古い襖があり、その襖には鶴と亀が描かれており……。
――と、書いているだけで、わくわくします。
何より魅力的なのは、拓が「見える」少年であるということ。
そしてこの1巻では、最後まで拓がなぜ「見える」のかは明かされません。
文句なしに楽しめる、胸躍る一冊です。
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2021年07月20日

「みちのく妖怪ツアー オンラインゲーム編」佐々木ひとみ・野泉マヤ・堀米薫著

216478731_3963419377086823_3750190144120911999_n.jpgひさびさに自著のご紹介です!
野泉マヤさん、堀米薫さんとともに書いた
「みちのく妖怪ツアー」シリーズの第4弾、
「オンラインゲーム編」(新日本出版社)です。
絵は、東京モノノケさん!
帯にはこうあります。

「おめでとうございます! あなたは、
みちのく妖怪ハンターに選ばれました!」
こんなメッセージが届いたら、ご用心! 
うっかり画面をタップしたら……。





ある日突然スマホの画面に表れた、
「みちのく妖怪ツアーゲーム」に参加する子どもたちのお話です。
本作も、これまでの流れを汲み、東北6県の妖怪と、その土地ならではの食や風物が登場します。
登場する妖怪は、カラカラ小僧(秋田)、羅刹鬼(岩手)、イジコ(青森)、
オンボノヤス(福島)、亡霊船(宮城)、カシャ猫(山形)です。
「みちのく」の奥深さと、ダークな味わいをお楽しみくださいませ♪
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2021年06月25日

「ぼくらは森で生まれかわった」おおぎやなぎちか著

DSC_7557.JPGおおぎやなぎちかさんの最新作
『ぼくらは森で生まれかわった』
(宮尾和孝・絵/あかね書房)
を読みました。
舞台は、岩手の小さな集落・羽野。
主人公は、小学五年生の真(しん)です。
友だちがハワイに行ってしまった夏休み、
暇を持て余していた真が、
河童が棲んでいるという「河童森」に
向かうところから、物語は動き出します。
河童守の家の子として、
河童明神にキュウリを供えに行った真は、
そこで見かけない少年に出会います。
少年は、東京から来た民俗学者の
山本さんの甥の順也でした。

出会は最悪だったものの、少しずつ近づいてゆく二人。
しかし、祭りの夜、真の嘘と順也の秘密が明らかになったことで、二人の関係に亀裂が入り、
順也は東京に帰ってしまいます。
真の嘘、それは、図らずも「いじめられている」と順也に思わせてしまったこと。
順也の秘密、それは、海外の映画賞で主演男優賞を受賞した俳優だったこと。
東京に帰った順也が引きこもり状態になっていると聞いた真は、東京に向かいます。

悩みと向き合い、未来を真剣に考えるようになる少年たちの、ひと夏の物語です。

ストーリーに惹かれたのはもちろんですが、真の夏休みの暮らしぶりと、
家が15軒(そのうち3軒は空き家)しかない羽野のたたずまい、
何より「夏」感全開の描写に強く心惹かれました。
6月に亡くなったじいちゃんが育てていたトマトやキュウリやナスが、
今、畑で鈴なりになっていたり、
五月にじいちゃんが手押しの田植え機で植えた稲が青々としていたり……。
リアルで、切なくて、泣けました。
中でもじいちゃんを想い、真が畑の草を鎌でざっざっと刈るシーンは出色でした。
刈られた草の青臭い匂い、刈り払われ、陽ざしを浴びてしなびた草の匂い、
畑の土の乾いた匂いまで感じられるようでした。
真といっしょに羽野の夏を体験しているような気持ちになりました。
本を閉じたとき、一瞬、自分の居場所を見失いました。
そして、今がまだ梅雨であったことに驚きました。
――おおぎやなぎさんの、確かな筆致が見せた幻でした。
ぜひ読んで、羽野の夏を体験していただききたいと思いました。
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2021年06月11日

『月とトンジル』佐藤まどか

 DSC_7462.JPG佐藤まどかさんの最新作『月とトンジル』(佐藤真紀子絵/あかね書房)を読みました。

 主人公は小学6年生のトール。トールにはダイキ、シュン、マチという友達がいる。4人は「テツヨン」と呼び合う仲良しだ。
 ある日、ダイキが大阪に引っ越すことになり、「一生くずれない、固いきずなで結ばれた仲間」に変化の時がやってくる。
 残された三人は、話が合わなくなり、話すこともなくなり、集まらなくなり……。ダイキがいた頃は四角形だったのが、三角形になり、直線になり、やがて点と点になってゆく。
 その中でトールは、友達や自分の「表」と「裏」の存在に気づいてゆく。そして、人はウラガワもあるからこそ、魅力的なことに気づく。月は、暗いウラガワがあってこその月だし、トンジルは脂があってこそのトンジルだと。大事なのは、ウラがドロドロになりすぎなように、バランスのとれたトンジルを作ることだと。
 トールに月とトンジルの話を聞かせたじいちゃんの「絶対はゼッタイにねえし、永遠もエイエンにねえのさ」という言葉が胸に刺さった。
 
 呪文のような不思議なタイトルに、ワクワクしながら読み始めた。……が、わりと早めに「いたた!」と思った。痛い……心がえぐられる!と。
 けれど、読むのをやめることはできなかった。恐る恐るながら、一気に読み切った。
 読み切ってよかったと思った。
 幼いころ、私にもずっと一緒に過ごしていた仲良しがいた。「三人さくら探偵団」という名前をつけていた。毎日集まる秘密の基地もあった。同じ集落で、家も近くて、三人は間違いなく大親友だった。そしてそれは、永遠にそうだと思っていた。
 自分はものすごく大切に思っていたが、だんだん温度差を感じるようになり、そのうち他の子と仲良くなり、やがて「三人だけ」という枠が薄れてゆき、基地に集まることもなくなり、「三人さくら探偵団」は消えていった。寂しく、辛く、苦い経験だった。
 どんなに仲良くなっても、いつかは心が離れる。「今度こそは」「今度こそは」と試してみたけれど、やはり同じ。
 ――あまりにも大切に思うと、あとで傷つくことになる。
 人との距離の取り方がわからなくなった私は、そのうち用心するようになった。

 私は痛みを痛みのまま置き去りにして過ごしてきた。正面から向き合わなかったツケはちゃんと回ってきて、大人になった今でも同じような失敗を繰り返している。何度も、何度も。
 トールのように、痛みととことん向き合うことができていれば、もう少し楽に歩いてこられたのかもしれないな、と思った。
 時を戻すことはできないけれど、どうすればよかったのか、どう考えればよかったのかに、この作品を読んで気づくことができた。今更ではあるけれど、気づかないままでいるよりはずっといい。
 子どもにはもちろん読んでほしいけれど、人との心の距離の取り方にとまどうことが多い大人にも読んでほしい作品です。
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登米取材同行記 その5

迷ったら戻る!
 余談ですが……。
 伊達小次郎君のお墓から小原縫殿助のお墓に向かうところで、軽く道に迷いました(笑) 
 下る道を間違って、隠れ里の田んぼのような場所に出てしまいました。
 そのまま突き進むようなことはせず、「戻りましょう!」と颯爽とまた山を登り始めた支倉様、さすがございました。
 その背中を追いかけながら、知らなかったとは言え、草履履きでの山歩きを支倉様に強いてしまったことを猛省いたしました。

侍とおばさん
DSC_7448.jpg 小原縫殿助のお墓から里へ下りるには、来た道を引き返すのが正規のルートでしたが、日暮れ間近だし、再び山を登る気力もないし……ということで、藪を漕いで里に下りることになりました。
 下りながら「見かけた人はびっくりしますよね」と申し上げたら、支倉様は「派手な侍とおばさんの二人組ですからねぇ!」と明るく、無邪気に言い放たれました(笑)。
 私はマスクの中で笑いながら「おばさんかいっ!」っと、小さく突っ込みました(笑)
 結局、里に下りるまで、さらに里に下りてからも、誰にも会わず、期待したようなことは起こりませんでした(笑)

※この件につきましては、後日支倉様より、「一応、発する前に逡巡したのですが、一番面白い『侍とおばさん』と表現しました」とコメントをいただきました(笑)


登米歴史ツアーを!
 今回は、支倉様の歴史講座「支倉ないと」の取材に同行させていただき、伊達宗倫公の霊屋の再訪はもちろん、伊達小次郎君のお墓参りまで叶ってしまった、夢のような一日でした。
 支倉様との車中での途切れることのない歴史談義も、贅沢極まりない体験でした。
「世の中が落ち着いたら、登米の歴史ツアーが再開され、この喜びと充実感を一人でも多くの方に味わっていただけますように」と、願いながら帰ってまいりました。
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【追記】
 つい先ほど、登米伊達家の伊達式部宗倫のご祐筆(現ご当主・伊達宗弘様(笑))からお葉書を頂戴したとご連絡をいただきました。
 ワタクシのことを「女性 曲亭馬琴殿」と書いてくださっておりました。
 物書きを生業とする私にとっては、最大級の褒め言葉でございます(*^。^*)
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登米取材同行記 その4

伊達小次郎君の墓所へ
DSC_7440.jpg 登米からの帰り道、支倉様が「訪ねたい場所はありますか」とお声掛けくださいました。
 ワタクシ、これ幸いと、ずっとお参りしたかった伊達小次郎君と小原縫殿助のお墓をリクエストさせていただきました。
 不勉強で、まさかお墓が山の頂上にあるとは知らず……。
 しかも夕暮れ時に……。
 案内板には「200m」とありましたが、急な斜面を登る200mは、私にとっては20qにも等しく……。
 けれどお願いした手前「やめます」とも申し上げられず、息を切らしながらのぼりました。
 小次郎君のお墓は山のてっぺんの木立の中にぽつんとあって、史実はどうあれ、「若い身空でこんなところに」と思うと胸が詰まりました。



小原縫殿助の墓所へ
DSC_7445.jpg さらに胸が詰まったのは、小次郎君の守役であったという、小原縫殿助のお墓です。
 小次郎君のお墓からしばらく下った薄暗い杉林の中にひっそりとありました。
 通常お墓は山を背に、開けた方を向いておりますが、小原縫殿助のお墓は逆で、山の方、小次郎君のお墓の方を向いておりました。
 どなたの指示でこうなったのかはわかりませんが(あるいは、ご自身の希望だったのかも)、死してなお主君を見守る小原縫殿助の思いが伝わってくるようでした。







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登米取材同行記 その3

天山公廟覚乗寺天台院霊屋へ
 木々の緑に守られるようにして、お堂はひっそりと佇んでおりました。
 登米伊達家の現ご当主・伊達宗弘様はお堂を開けて、奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊の支倉様常長を中に招き入れ、特別に厨子を開けてくださいました。
 熱心に見入る支倉様。そんな支倉様が見入っている厨子の真下に、宗倫公のご遺体があったのだと思うと、身が引き締まる思いがいたしました。
 また、31歳で亡くなった宗倫公が円通院に霊屋がある伊達光宗公とご兄弟であったこと、光宗公も19歳で早世なさったことを思い出し、切ない気持ちになりました。
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登米の町あるき
 覚乗寺を拝見したあとは、宗弘様が懐古館、水沢資料館、教育資料館をご案内くださいました。
 行く先々で宗弘様が支倉様を「たった今ローマからお帰りになった支倉様です!」とにこやかにご紹介なさっていて、その度に笑顔の輪ができておりました。
 どこを訪ねても、支倉様は大人気でした。
 登米伊達家の現在のご当主・伊達宗弘様と、伊達武将隊の支倉常長様。歴史ある街並みを歩くお二人の背中を見ていると、時間が交差する瞬間に立ち合っているような、不思議な感覚に包まれました。
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 歴史が息づく町を歩き、伊達家の歴史に連なる方から直接お話をうかがうことができる……。これ以上の贅沢はないのではないかと改めて感じました。
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登米取材同行記 その2

伊達宗弘様のお宅へ
 「とよま観光物産センター 遠山之里」を出ると、時刻はちょうど午後2時になったところ。
 いよいよ、登米伊達家の現ご当主・伊達宗弘様とのご対面です。
 支倉様が連絡すると、すぐに、宗弘様が車でお迎えに来てくださいました。
 車から降りていらした宗弘様は、「ようこそ!」と満面の笑顔。支倉様を心から歓迎してくださっているのが伝わってまいりました。
 車は遠山之里を出て、間もなく山道にさしかかります。右はかつての寺池城跡。目指す天山公廟覚乗寺天台院霊屋は、左手の森の中です。
 まずは、祈祷所だったという宗弘様のお宅でお話をうかがうことに。
 お部屋に案内された支倉様は、「お参りさせていただきます」と声をかけると、登米伊達家のお位牌の前に正座し、静かに手を合わせました。この心配り、見習わねばと思いました。

晴れ渡る霊屋の上の空
 おいしいお菓子やアイスクリームなど、奥様におもてなしをしていただきながら、宗弘様からお話をうかがっているうちに、何やら庭先が明るくなってまいりました。
 いつの間にか、雨が上がっていたようです。
 ふいに、昨年「かわら版」の取材で訪れたときのことを思い出しました。
 あのときは2月で、直前まで厚い雪雲に覆われていたのが、伊達政宗様が霊屋に着いたと同時に、霊屋上空だけ青空に……という出来事がありました。
 そのことを宗弘様に申し上げると、「そういえば政宗公がいらしたときも、前夜、霊屋がざわざわしていましたが、昨夜も同じで、ざわざわしておりました」と真顔で教えてくださいました。
「それではそろそろ」と伊達宗倫公の霊屋に向かう頃には、空はすっかり快晴に。
 前回といい、今回といい……。軽く鳥肌が立ちました。
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登米取材同行記 その1

 昨年2月に奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊の「かわら版」で取材させていただいた日から、「もう一度訪ねてみたい」と願い続けていた登米。6月8日、支倉常長様のお許しを得て、歴史講座「支倉ないと」の取材に同行させていただけることになりました。

小雨降る登米へ
 支倉様の午前中のお役目が終わったのが12時30分。登米伊達家の現ご当主・伊達宗弘様とのお約束は午後2時。昼は食べずに「このまま登米に向かいましょう」ということになりました。
 仙台東インターチェンジから三陸自動車道に乗り、車は北へと向かいます。
 仙台を出るときは薄曇りだったのが、どんどん雲が厚くなり、石巻を過ぎる頃にはついに、ポツリポツリと降ってきました。
「雨ですね」「雨ですねぇ」
「ちょっぴり残念!」なトーンの会話を交わしながら、登米に到着したのは午後1時30分! お約束の時間まで30分あります。
 出発するときは昼抜きを覚悟しておりましたが、どちらからともなく「食べますか!」ということになり、「とよま観光物産センター 遠山之里」へ。
 館内に居合わせた方々は、いきなりの伊達武将隊の支倉常長様の登場に大喜びでした。
 
油麩丼に舌鼓
 支倉様のご所望は、登米名物の「油麩丼」。私も同じもの(ただし小)をいただきました。
 油麩になじみがなく、興味もなかったワタクシですが、これは食べて大正解でした。油麩に味がしみていて、さらにダシに油麩のコクが出ていて、地味な見た目からは想像もつかない奥深い味わい! 個人的には、おかずに「ローストビーフ」がついてきたことにも大感激でした。
 わっしわっしと「油麩丼」を平らげると、支倉様はお店の方の求めに応えて、お写真撮影に。私はお土産物を物色に。遠山之里の一角には、朝ドラ「おかえりモネ」グッズのコーナーができておりました。
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2021年05月06日

「はなの街オペラ」森川成美著

DSC_7024.jpg待ちに待った森川成美さんの新作が出版されました。
タイトルは『はなの街オペラ』
(坂本ヒメミ画/くもん出版)!
表紙は、まさにオペラのポスターのようなデザイン。
そして帯には「浅草オペラの幕が上がる! 
ひとときの夢かもしれないけれど、
こんな瞬間があるから生きていける」の文字。
こんなご時世ですが、
……いや、こんなご時世だからこそでしょうか、
ワクワクしました。
時は大正時代。主人公は、たった一度きいただけで
どんな歌でも覚えてしまう神谷はなです。
14歳のはなが、東京の奉公先に向かうため、
汽車に乗るところから物語の幕は開きます。
東京駅に迎えに来ていたのは、美青年・笛木響之介。

奉公先の主人伊野一郎は音楽家で、響之介は伊野家の書生でした。
そこから物語はスピードを上げながら、はなを浅草オペラの世界へと運んでゆきます。
響之介が立ち上げた浅草の谷中歌劇団に届け物に行ったはなが、
倒れた主役のかわりに舞台に立ち「トスカ」を歌うことになるシーンは圧巻です。
――浅草オペラの歌姫誕生の瞬間でした。
はなは谷中歌劇団の一員となり、やがてトップとして認められるようになります。
そして、大正12年9月1日がやって来ます。大きな地震で浅草の象徴であった十二階は崩壊。
火の手に追われてたどり着いた場所で歌ったことで、はなは自分の生きる道を選びます。
浅草オペラ、関東大震災……大正という時代を背景に、
はなという女性が自分の生き方を選び、力強く歩んでいく物語です。
ぜひご一読くださいませ。
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「はくさいぼうやとねずみくん」堀米薫著

DSC_7023.jpg堀米薫さんの新しい絵本が
出来ました。
『はくさいぼうやとねずみくん』
(こがしわかおり絵
 /新日本出版社)です。

はたけのすみっこで、
ひとりぼっちでくらしていた
ねずみくんが、
おひゃくしょうのビニールハウスに
走って行くところから、
物語ははじまります。

ねずみくんはそこで、「わーい、ぼく、いま、うまれたよ!」という声をききます。
声の主は、はくさいぼうやでした。
ぼうやはいいます。「きみ、ぼくのともだちになってくれる?」
ふたりはともだちになります。
ひをおうごとに、ぐんぐん大きくなっていくはくさいぼうやに、
ねずみくんはまいにち会いにでかけます。 
やがて冬になり、ねずみくんにしんぱいごとがうまれます。
おひゃくしょうが、ふとったはくさいからじゅんにとっていってしまうのです。
(はくさいぼうやまで、つれていかれたらどうしよう……)
そして……。

絵本が届いた時、添えられたお手紙にこんな一文がありました。
「この物語は、ある夜、月明かりの畑を見ていて、もしかしたらこんなことがあるのではないかな……と、ふと頭に浮かんだことがきっかけで、生まれました。」
私は、宮沢賢治の『注文の多い料理店』の序文を思い出しました。
「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹にじや月あかりからもらつてきたのです。」
堀米さんは、月明かりのはくさい畑から、このお話をもらってきたのだと思いました。
『はくさいぼうやとねずみくん』、名作です。ぜひ読んでいただきたい絵本です。
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2021年04月27日

「青空モーオー!」堀米薫著

DSC_6911.JPG堀米薫さんの最新作『青空モーオー!』
(pon-marsh絵/学研プラス)を拝読しました。
小学4年生の陸が、いとこが働く牧場で過ごす
7日間の物語です。
陸は乳牛を飼育する工藤牧場で、酪農家のくらし、
子牛の生命力、人間の世界と重なる
牛の世界の厳しさとやさしさを知ってゆきます。
読んでいるうちに、知っているようで知らなかった牧場の暮らしを、陸と一緒に体験している気持ちになりました。
その中で、陸自身の成長も
しっかりと描かれています。
表紙の絵がすべてをあらわしているような、
読後感抜群の爽やかな作品でした。


堀米さんについては常々「牛を書かせたら右に出るものはない」と思っているのですが、改めて、その思いを強くしました。
閉塞感に満ちている今の時期、吹き渡る牧場の風を堪能させていただきました。
たくさんの子どもたちによんでいただきたい一冊です。
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2021年03月02日

『もりのがくだん』野泉マヤ

DSC_6571.jpg遅くなりました!
『みちのく妖怪ツアー』でご一緒させていただいている宮城県加美町在住の作家・野泉マヤさんの絵本です。
タイトルは『もりのがくだん』(絵・アンヴィル奈宝子/ひかりのくに)。
くま、きつね、うさぎのがくだんは、みんなの人気もの。もりのおまつりで、演奏することになっていました。
ところが、いよいよおまつりというところで、雨がふってきます。雷までも。
雨がやんだあと見に行くと、テントにいれておいた楽器は使えなくなっていました。
おまつりで演奏ができなくなった三人はどうするのか……。

先日の地震もそうですが、自然災害は予想もしない時に起こります。
――予期せぬ出来事に遭遇した時、どうするか。
野泉さんは「知恵と工夫でのりきりたいという想いを込めてつくりました」と
書いていらっしゃいます。
野泉さんの想いを汲んだ、アンヴィル奈宝子さんの絵が、とってもすてきです。
かわいらしく、美しく、どこかなつかしい……。
文字で書かれていないことを見つける楽しさは、まさに絵本の醍醐味。
堪能させていただきました。
実は、この絵本が出版されたのは昨年11月! 
11月3日に行われた仙台市図書館主催の講演会の折に、お手渡しいただいていたのですが……。
なぜこんなにご紹介が遅れたのかと申しますと、作成した紹介文を投稿し忘れておりました(/_;)
ワタクシ、すっかりアップしたつもりでおりました。本当に申し訳ないことをいたしました。 
遅きに失した感はありますが、長く読み継がれる絵本だと感じましたので、
ご紹介させていただきました。
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2021年02月04日

『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの戦士』おおぎやなぎちか

DSC_6436.jpgおおぎやなぎちかさんの最新作「アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士」(江頭大樹絵/くもん出版)を拝読しました。
アテルイ、坂上田村麻呂、エミシ……。故郷・茨城で暮らしていた頃は、ほとんど耳にすることがありませんでした。
東北(仙台)で暮らすようになってから、仕事柄、耳にするようにはなりましたが、恥ずかしながら、それぞれがどういう人物でどういう関係にあったのかはウロ覚えのまま。本作を読んで、ようやく理解することができました。
……というのは全くの蛇足で、あとがきに著者が書いている通り、「フィクション」として楽しませていただきました。
時代は、奈良時代から平安時代にかけて。主人公は、東北を支配しようとした朝廷軍と戦ったアテルイです。
そして、朝廷軍を率いて東北に攻め込んできたのが、坂上田村麻呂です。
アテルイの記録はほんのわずかということですが、父に疎まれた少年時代、エミシのリーダーになっていく青年時代、そして敵将である坂上田村麻呂との交流など、ちかさんの想像から生まれた「アテルイ」の世界観にわくわくさせられました。
強く感じたのは、今に伝わる歴史は、二つの視点で見るべきであるということ。
支配する側があれば、支配される側もあったことを忘れてはいけないと改めて感じました。
個人的には、思い入れのある「多賀城」が重要な舞台になっていたのがうれしかったです。
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2020年11月17日

『ジャンプして、雪をつかめ!』おおぎやなぎちか著

DSC_6002.JPGおおぎやなぎちかさんの最新作『ジャンプして、雪をつかめ!』(くまおり純 絵/新日本出版社)を読みました。
タイトルと表紙を目にした時から気になっていた作品、読後の満足度は期待の遥か上を行っておりました。
最近、むさぼるように本を読んでいるのですが、「読み終えるのがもったいない!」と思いつつ、結果、一気読みしたのは久々でした。
主人公は、両親の離婚で、東京からママの故郷である青森に引っ越してきた、五年生の唯志です。三学期ということで、季節は真冬。慣れない雪国の暮らし(しかも、昭和にタイムトリップしたような)に悪戦苦闘しながら、少しずつ成長してゆく唯志の姿が丁寧に描かれています。
きっとそうなるんだろうな、そうなって欲しいな、と思う方向にお話は進んでゆきますが、その行程に、おおぎやなぎさんらしいスパイスがピリッと効いているのが、満足度120%のゆえん。私は、唯志の心の声(ツッコミ?)に惹かれました。たとえば、こんな感じです。
――おばあちゃんがそばに住んでいるから、いろいろ助けてくれる。 
歩いて行ける距離じゃない。
――田舎の人たちは人情が厚い。
離婚して、子どもを連れて帰ってきたって、陰でこそこそいってんじゃないの? 
――田舎は家賃も安いから、ママの給料でもなんとかなるし。
家賃は安い。でも給料も安い。
鋭い。そして、冷静。唯志の感性にぐいぐい引きこまれました。
もうひとつ惹かれたのは、「雪国の暮らしぶり」です。同じ東北ですが、雪がそれほど降らない仙台とは、雪に対する感じ方も、暮らしに必要な道具類も、こんなに違うのかと興味津々で読ませていただきました。
『ジャンプして、雪をつかめ!』の「雪」が何かは、読んでからのお楽しみ♪
帯にある「暗い中でも歯をくいしばって歩くしかない。でも、ちゃんと明るいところに出られる」は、今、コロナ禍で苦しい思いをしている私たちへのメッセージのような気がいたしました。
爽快な読後感が味わえる一冊です。

DSC_6004.JPG>追記
本をひっくり返したら、帯に「好評の児童書シリーズ」として、「みちのく妖怪ツアー」シリーズの書名と作者名が掲載されておりました。
同じ「みちのくの本」として推していただけて、うれしかったです(*^。^*)
posted by roku at 09:06| Comment(0) | 読んだり書いたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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